『津村節子自選作品集 全6巻』 他多数の書籍を買受させて頂きました。
買取品目 | |
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小説、全集 | |
買取方法 | 出張買取 |
お住まい | 千葉県 我孫子市 |
※買い取り価格は当日の価格であり、その価格を保証するものではありませんので予め御了承下さい。
※状態や付属品の有無、買い取り方法などによって価格が変動いたします。
スタッフからのコメント
千葉県我孫子市のお客様のお宅へ、書籍の買受にお邪魔致しました。
今回のお客様は、国内の作家の小説などの文芸作品を中心に、大量の書籍をお譲りして頂きました。
幅広いジャンルの作品を読んでこられたそうですが、中でも国内の女性作家の作品を多く所有されており、林芙美子、幸田 文、三浦綾子…等々の女流作家の作品の書籍を多く買受させて頂きました。
蔵書はどれも大切に保管されていたようで綺麗な状態のものばかりで、頑張って査定させていただきました。
そんな中、今日ご紹介したい本は『津村節子自選作品集 全6巻』です。
津村節子は、女性心理を多く描き、芥川賞はじめ様々な作品で受賞歴をもち、90歳を超えた現在でも現役で活動を続けている女性作家です。
津村節子を語るうえで欠かせないのは、尊敬する作家で愛する夫でもある吉村昭の存在です。
お互い作家として活動していましたが中々ヒットに恵まれず、同人作家として貧しい生活を共に過ごした二人ですが、津村が1965年に芥川賞を受賞し、翌年に吉村が太宰治賞を受賞するなど、夫婦ともに作家として活躍します。
津村節子の作品で特に印象的なのは、夫の吉村昭の晩年のがんとの闘病の様子を描いた作品『紅梅』ではないでしょうか。吉村昭は、舌癌と膵臓癌を患い、手術後の自宅療養中に看病していた長女に「死ぬよ」と告げ、自らの意思で点滴とカテーテルポートの引き抜き死去しました。
延命治療を拒んだ自殺ともいえる最期は、「尊厳死」というテーマで世間に衝撃を与えました。
津村節子は本作を、「辛い時期を思い出し、書きたくなかったのですが死にものぐるいで書き終えた事で、やっと気持ちの整理がつきました。」と語っています。
『紅梅』は、この自選作品集の出版後の作品なので収録されていませんが、作家として夫婦としての半世紀を超す歩みに裏打ちされた作品です。