『能面 中村保雄』ほかの専門書をお譲りして頂きました。

千葉県千葉市のお客様のお宅へ、出張買い受けにお伺いさせて頂きました。

今回のお客様は、ご主人様のお父様の遺品整理の為に蔵書の買取をお願いしたいとのご連絡を10日ほど前に頂き、お勤めの休みの日にということで本日伺うことになりました。

お父様は幅広いご趣味をお持ちだったとのことで、蔵書も専門的な書籍が多くあるため、ジャンルを問わずに査定が可能な古書店をお探しして当店を選んで頂けたそうです。

その中から今回ご紹介する書籍は、『能面 中村保雄』です。
能楽観劇もご趣味のひとつで過去に買い求めたもので、外装箱も含めて書籍の状態は大変良いもので大事に保管されてきたことが伺えました。

中村保雄は、能面作家中村直彦を父に持ち、学校の先生を勤めながら能面研究家として能面に関する書籍を数多く出版しました。

その中村保雄編により駸々堂（しんしんどう）から出された『能面』は、駸々堂創業99周年記念出版として発行された書籍で、大型版で外箱を開けると布張りの装丁がされており、かなり立派で凝った作りになっております。

駸々堂は明治14年に京都で創業された出版社で、関西方面では長く愛されていた老舗書店でしたが、残念ながら2000年に倒産し現在はありません。
また、中村保雄もすでに他界しており、この『能面』は能のファンのみでなく、コレクターの方にも注目される書籍となっています。

能や狂言、浄瑠璃などの伝統芸能は日本が誇るべき文化ですが、敷居が高いイメージから敬遠しがちな分野です。
私自身も、そんな伝統芸能を実際に鑑賞したことはありませんが、本書にまとめられている能面の写真を一枚ずつ見ていくと、その迫力に惹きつけられて興味が湧いてきました。

間違いなく後世に残すべき貴重な書籍を譲って頂き、感謝します。