丸山　敏雄 作品買取

1892年（明治25年）5月5日ー1951年（昭和26年）12月14日　福岡県出身
社会教育者・書家

戦後の日本において、倫理運動と呼ばれる生活改善運動を創始した社会教育者です。

丸山敏雄は、1892年に福岡県上毛郡合河村字天和（現：豊前市天和）に、農家の四男として生まれました。
父の丸山半三郎は熱心な浄土真宗信徒で神仏礼拝を重んじ、家の跡取りではない敏雄には僧侶になって欲しい願いから、厳格な信仰教育を施しました。

農業の邪魔になると家で本を読むことが禁止されていましたが、その分授業に集中し学業は非常に優秀で、高等小学校卒業後は受け持ちの教諭の勧めもあり、教師の道に進み始めます。
代用教員として初めて教壇に立ったのは16歳の時でした。

働きながら勉学を続け、正規の教師の資格を取るために小倉師範学校に進学、学内には修養の雰囲気に満ちており、互いに切磋琢磨する空気が、向上心に火を付けました。
学業はもとより、書道の研鑽にも励みながら卒業まで首席を通しました。
決して点取り虫ではなく、その真摯な向上心と温和な人柄と篤い人望から「孔子丸山」のニックネームが付けられました。

卒業後は故郷に戻り小学校に勤務し、3年後にはさらに上級の教師を目指し広島高等師範学校に進みました。
28歳で高等師範学校を卒業すると、中学校の教諭となりその熱心な姿勢から生徒からの人気も高く、1925年には34歳という若さで長崎女子師範学校の教頭になります。

しかし、専攻科目の研究の行き詰まりと長崎で出会ったカトリックの生徒たちの熱烈な信仰心に、自分には歴史教育者としての信念が欠けていて、このままでは教師など務まらないと痛感し、37歳にして教職を去り、再び大学進学の道を選びました。

当時の倫理学の大家の西晋一朗に教えを請うために広島文理科大学に入学し、日本古代史、神祇史の研究に没頭しましたが、「古事記」「日本書紀」などに記された常識では考えられない奇跡的な出来事を学問的にどう解釈するかに悩みました。

そんな時、そうした奇跡的な出来事を現出しているという「ひとのみち教団」を友人から紹介され、教団教師の話に共感し入信を決意します。
厳しい修行を叩き込まれた丸山は、教団内で次第に頭角を現していき、2年後には異例の速さで「准教祖」に任命されます。

しかし、当時は太平洋戦争開戦がささやかれ、戦時体制強化の目的で、宗教団体は弾圧され、強制的に解散させられていました。
丸山も、1937年に不敬罪の罪状で他の教団幹部と共に検挙され、教団も解散させられました。
罪を認めるように強要されますが否認し、拷問を加えられる肉体的苦痛と自白の強要などの精神的苦痛から、亡き両親への痛切な悔恨の念が噴出しました。
親不孝を心から詫び、父母の涙が自らの涙と重なる涙の交流が数か月続き、この交流が丸山を大我に目覚めさせます。
このような理不尽極まる苦難の中で、宗教の在り方に対して深く反省し、やがて過剰な熱は冷め宗教から脱しました。

丸山は後に有罪判決を下されますが、1945年にGHQ指令に基づき戦争終局に伴い出された大赦令により恩赦の対象となりました。

終戦直後の1945年9月3日、丸山は日本の再建を期した論文『夫婦道』の執筆を始めます。
日記に「夫婦道、起稿。この平和と世界文化建設の大任に入る」と記し、実質的に倫理運動を創始しました。

1947年には倫理研究所の前身となる「新世会」を結成し、機関誌『文化と家庭』を発刊し頒布するなどし、また日本各地に講演活動に赴き賛同者の輪を広げました。

翌年には、8月に初めての単行本『無痛安産の書』を刊行、10月には「新世会」に対して東京都より社団法人の認可が下り、本格的に生活改善運動に取り組み始めました。

その後も執筆・講演・指導の数々をこなし、いくつも著書を出版し、1951年に「新世会」を「倫理研究所」に改称するなど旺盛に活動を続けますが、休むことをしなかった丸山は次第に体調を崩し、同年に59歳の若さで亡くなりました。

丸山の教えは、幸せになる生活法則として現在も親しまれています。

代表作に『無痛安産の書』『万人幸福の栞』『書道藝術』など

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