開高　健 作品買取

1930年（昭和5年）12月30日ー1989年（平成元年）12月9日　大阪府出身
小説家

戦後の日本・世界を渡り歩き、人や物事の本質を観察したルポやエッセイ、純文学作品を精力的に発表した日本の小説家です。

開高健は、1930年に大阪市天王寺区に生まれました。
子ども時代は、紙芝居と本が好きで、江戸川乱歩、山中峯太郎、海野十三などを愛読し、中学入学後は、戦時下の勤労動員の合間に内外の文学作品を乱読しました。

第二次世界大戦後は旧制大阪高等学校を経て、1949年に学制改革により大阪市立大学文学部法学科に入学します。
在学中に読んだ、リルケ『マルテの手記』、サルトル『嘔吐』に衝撃を受け、『嘔吐』はその後も繰り返し愛読しました。

1950年には、文学仲間の一人で、後に国文学者となる谷沢永一の主宰する同人誌「えんぴつ」に参加、1952年には同人仲間の詩人牧洋子と結婚しました。

1953年に大学を卒業後は、育児のために退社した妻洋子の後任者として、壽屋（現：サントリー）宣伝部に途中入社し、文案家（コピーライター）として働き、PR誌「洋酒天国」の編集やウイスキーのキャッチコピーを手がけました。

1954年からは、『近代文学』誌上に作品の発表を始め、1957年に野ネズミの大量発生を題材にした『パニック』を執筆し、同作は『新日本文学』に発表され商業誌デビューします。
また同年に『文学界』に発表した『裸の王様』は、翌年第38回芥川賞を受賞し、これを機に壽屋を退職し、執筆業に専念します。

1960年5月から7月にかけて、中国訪問日本文学代表団の一員として中国を訪れ、毛沢東・周恩来などと会見します。
翌61年には、ソビエト作家同盟の招きでモスクワなどを訪問し、さらに東西ドイツ、パリに滞在し、サルトルと会見しています。

1964年に、朝日新聞社臨時特派員として戦時下のベトナムへ赴きます。
南ベトナム戦地取材のために従軍中、反政府軍に包囲されましたが死地を脱し、ベトナムより帰国、この時のルポルタージュ『ベトナム戦記』を発表します。

その後はベトナムでの過酷な体験をもとにした作品を約3年をかけて執筆し、同作は1968年に新潮社より『輝ける闇』として発表されます。
『輝ける闇』は、ベトナム戦争に従軍した主人公の一人称で物語が進み、戦況や周囲の環境によって変わる主人公の心情を丁寧に描き、毎日出版文化賞を受賞し、ベトナム戦争を主題にした文学として最も有名な作品といわれています。

また釣り好きでも有名で、日本はもちろんブラジルのアマゾン川など世界中で釣りをし、『フィッシュ・オン』『オーパ！』などの釣りを題材にしたノンフィクション作品も多く発表しました。

その後も世界各地を訪問し精力的に作品の発表をしますが、1989年に食道がんの手術後に『珠玉』を脱稿しましたが再入院し、食道腫瘍と肺炎を併発し死去しました。　58歳没

死後も、開高健の業績を記念して、TBSブリタニカ（現：阪急コミュニケーションズ）が開高健賞を、集英社が開高健ノンフィクション賞を創設するなど、現代でも日本文学界に影響を残し続けています。

代表作に『裸の王様』『輝ける闇』『フィッシュ・オン』など

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