吉村　昭 作品買取

1927年（昭和2年）5月1日ー2006年（平成18年）7月31日　東京都出身
小説家

徹底した取材を基に緻密に構成した多彩な歴史小説を数多く発表し、歴史小説に「記録文学」という新境地を拓いた日本の小説家です。

吉村昭は、1927年に東京府北豊島郡日暮里（現：東京都荒川区東日暮里）に生まれました。
生家は綿糸紡績工場を経営しており、住み込みの工員もいて大家族のような家庭でした。

中学校に上がる頃には、兄の影響から小説に興味を持ち始め、芥川賞や直木賞の受賞作の単行本を買って読み、また家庭教師の指導から岩波文庫の古典日本文学を読むようになり、2年生時には『ボートレース』という題の作文が校内雑誌に掲載されました。

肺病などのため欠席が多く、また寄席通いも好きで戦時下ながら演芸場に通う生活を送り、戦時特例により卒業はできましたが成績不振で進級できず予備校生活を送りました。

その頃、母と父が病気で相次いで亡くなり、1947年に旧制学習院高等科文科に入学しますが、翌48年に喀血し大手術を受ける闘病生活を送り大学を中途退学するなど、生死を見つめる出来事が重なったことがのちの文学観に多大な影響を与えました。

療養生活を経て、1950年に新制学習院大学文政学部文学科に入学し、文学部に所属し放送劇を手掛けるようになります。
この頃から作家を志すようになり、1952年には同人誌『赤絵』に発表した『死体』が三島由紀夫に激賞されました。

ただ、創作に熱中するあまり講義を受けず、また必修科目である体育を受ける体力もなく、さらに学費を長期滞納していたこともあり、1953年に大学を除籍となりました。
中退と同時に三兄の経営する紡績会社に入社しますがすぐに退社し、直後に文芸部で知り合った北原節子（津村節子）と結婚しました。

1955年からは次兄が代表を務める繊維関係の団体の事務局に勤めながら、丹羽文雄主宰の同人誌『文学者』、小田仁二郎主宰の同人誌『Z』などに参加し作品を発表し、1958年に『週刊新潮』に短篇『密会』を発表して商業誌デビューを果たします。

1959年から何度も芥川賞の候補に上がりますが受賞を果たせず、1965年に妻の津村節子が先に芥川賞を受賞しましたが、1966年に『星への旅』で第2回太宰治賞を受賞し、この年に長篇ドキュメント『戦艦武蔵』が『新潮』に一挙掲載されたことから注目され、ようやく作家として認められ始めます。

1973年には『戦艦武蔵』『関東大震災』など一連のドキュメント作品で第21回菊池寛賞をを受賞し、その後も吉川英治文学賞、読売文学賞などの文学賞を数多く受賞しました。

その後2005年にガンの宣告を受け、2006年に手術を受け退院した後も短篇の推敲を続けましたが、新たな原稿依頼を受けられず、療養していた自宅にて7月31日に亡くなりました。　79歳没

代表作に『戦艦武蔵』『破獄』『冷い夏、熱い夏』など

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