永井　荷風 作品買取

1879年（明治12年）12月3日ー1959年（昭和34年）4月30日　東京都出身
小説家・随筆家・翻訳家

明治・大正・昭和に渡って活動した日本の小説家で、反時代的な姿勢を貫いた作品を多く発表しました。

永井荷風（本名：壮吉）は、1879年に東京市小石川区金富町(現：東京都文京区)に生まれました。
父・久一郎は、海外への留学経験を持つエリート官僚で、良家の子弟として育ちました。

東京外語学校（現：東京外語大）に進学しましたが、父への反発もあり、1898年に新進流行作家の広津柳浪に入門し作家修行に入ります。
巖谷小波主宰の文学グループ「木曜会」での交流の中で、エミール・ゾラの作風に心酔し、1902年に上流家庭を舞台に人間の暗い本能や衝動を描いたゾライズム小説『地獄の花』を発表し、前期自然主義の代表作家となりました。

また、この時期は落語家や歌舞伎作者の修行も行い、勉学に身が入らず、学校は除籍となっています。

1903年には、実業家の道を歩ませようとした父の命令で渡米しますが、父の意に反し文学に傾倒し、長い間憧れていたフランスへ渡ります。
フランスでは市民の個人主義と自由を愛する精神を学び、新たな見識と個性を持ち帰って帰国します。

海外での経験を基にした『あめりか物語（1908年）』『ふらんす物語（1909年）』を発表し、異国での感慨を清新な感性で表現しましたが、西洋と日本の文明の落差を示した作品は風俗壊乱として発売禁止の憂き目に遭いました。

その後は、夏目漱石の依頼で連載した『冷笑』や江戸情緒的な風俗小説『すみだ川』などで古き良きものを見出す姿勢を取り、耽美派の新進作家として注目されました。
しかし、1910年の大逆事件（幸徳秋水事件）の理不尽さに対して全く糾弾しなかったことを恥じ、自身には文明批判精神を持つべき近代文学者の資格が無いとして、以後は江戸戯作者の姿勢に転じました。

江戸趣味に走り、花柳界を舞台にした享楽的作品『新橋夜話』や、『腕くらべ』、『おかめ笹』などを発表し、主宰した雑誌『三田文学』は耽美派の拠点となりました。

1931年には、昭和の新風俗を背景に銀座の女給を描いた風俗小説『つゆのあとさき』、1937年には私娼街を背景に、時代の風俗・人情と季節の推移を織り込んだ随筆風の小説『濹東綺譚』を発表し、作家として不動の地位を築きました。

戦争の深まりにつれて新刊の発表は難しくなりましたが戦中も執筆は続け、中でも1917年から綴り続けた日記『断腸亭日乗』は、亡くなる前日の1959年4月29日まで続き、当時の世相とそれらに対する批判が綴られていて、荷風の孤独な反逆精神が伺われる傑作とされています。

1959年（昭和34年）4月30日　胃潰瘍により死去　79歳没

代表作に『すみだ川』『腕くらべ』『濹東綺譚』など

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