吉田　松陰 作品買取

文政13年8月4日 （1830年9月20日）ー安政6年10月27日（1859年11月21日）　山口県出身
教育家・思想家

江戸後期に活動した思想家で、幕末から明治にかけて活躍した人材を多く輩出した私塾「松下村塾」を開いたことで知られています。

吉田松陰は、長州萩城下松本村（現：山口県萩市）で長州藩士の杉百合之助の次男として生まれました。
父は下級武士でしたが、武士だけでなく農業を中心とした生活をしていて、農作業時に幼い兄とともに武士としての心得や尊王の精神を教えられました。

その後、山鹿流兵学師範である叔父の吉田大助の養子となりましたが、まもなく叔父が急死してしまった為、6歳にして吉田家の家督を継ぎます。
同じく叔父の玉木文之進が開いた松下村塾で厳しい指導を受け、9歳で明倫館の兵学師範に就任し、11歳の時に藩主の毛利敬親の前でした講義は出来栄えが見事で、その日から「松本村に天才あり」とその名が知れ渡りました。

19歳で藩校明倫館の独立師範に就任し、21歳の時には見聞を広めるために九州遊学の旅に出ます。
九州では平戸、長崎、熊本と旅を続け、その間様々な人物と出会い見識を深めました。

その後は、参勤交代に同行し江戸にも遊学し、そこで佐久間象山などから西洋兵学を学びました。
嘉永5年には、九州で意気投合した宮部鼎蔵らと「水戸学」や「海防」に関する勉強を目的とした東北への旅行を計画しますが、出発日を守るために長州藩からの通行手形の発行を待つ前に脱藩し、江戸への帰着後に罪に問われて士籍剥奪と世禄没収の処分を受けました。

藩士の身分を失い、父の保護下に置かれることになりましたが、松陰の才能を惜しんだ藩主から10年間の遊学許可が下り、再び江戸へ遊学します。
嘉永6年に、ペリーが浦賀に来航した際には、師の佐久間象山ととも黒船を望遠観察し、西洋の先進文化に衝撃を受け、西洋列強から日本を守るためには西洋先進国を知る必要があると外国留学を決意しました。

翌年にペリーが日米和親条約締結のために再来航した際には、下田で停泊中の軍艦に小舟で乗りつけ乗船を要求しましたが、この密航の申し出は受け入れられませんでした。
松陰は自首し投獄され、のちに萩の野山獄に投獄され、ここで囚人相手に孟子の講義を始め、これが松陰の教えの原点となりました。

野山獄に投獄されて1年あまり経ち、藩から自宅謹慎を命じられ、実家の杉家に幽閉となり、禁固中の杉家で親族や近隣のものを相手に孟子の講義を再開し、この講義が次第に評判となり萩城下に広まっていきます。
安政4年には、叔父が主宰していた松下村塾の名を引き継ぎ、杉家の敷地内に松下村塾を開塾しました。

松下村塾は萩城下に知れ渡り、武士や町民など身分の隔てなく塾生を受け入れたことで萩だけでなく長州藩全体から才能のある若者が集まるようになります。
松陰が松下村塾で塾生の指導に当たった期間はわずか２年あまりでしたが、門下生たちにはのちに京都で志士として活躍した者や、明治維新で新政府に関わる者など幕末と明治において大きな活躍をした人物を数多く輩出しました。

松陰は学んだことを活かし実行に移すことの大切さを強く説き、自身も脱藩や密航を試みるなど実行に移した経験が若者を強く惹きつけましたが、門下生に行動を説く一方で自らも行動することを辞めませんでした。

幕府の老中間部詮勝が朝廷を厳しく取り締まろうとしていることを聞き、これに激怒し間部詮勝要撃計画を実行しようと萩に残る塾生に声をかけ要撃隊をつくり、藩には武器・弾薬の提供を願い出るなどしますが、この行動が危険視され再び野山獄に幽囚されます。

安政6年には、安政の大獄で獄死した尊皇攘夷の志士・梅田雲浜が萩で松陰と面会したことを理由に幕府から江戸に送るように命令され、ここで老中暗殺計画である間部詮勝要撃策を自ら進んで告白し、この結果死刑が宣告され伝馬町牢屋敷で刑が執行され亡くなりました。 享年29

維新の先駆者となった松陰の想いは門下生たちへ強烈に引き継がれ、その志はのちの世に大きく花開き、門下生たちの活躍により明治維新は成り、明治政府においても松下村塾出身者から内閣総理大臣2名、国務大臣7名、大学の創立者2名など、現在の日本に続く数々の功績を残しました。

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