大江　スミ 作品買取

1875年（明治8年）9月7日ー1948年（昭和23年）1月6日　長崎県出身
教育家

明治から昭和にかけて活躍した日本の教育家で、日本の女子教育の先駆者です。

大江スミは、1875年に長崎県に生まれました。
父の宮川盛太郎は、グラバー商会を設立したトーマス・ブレーク・グラバーに仕えていましたが、1880年に宮内省大膳職に転職したことにより一家は上京します。

スミは、生まれたときから左耳のわきに黒いシミがあり、それが成長するにつれ広がり、大きなあざとなりました。
当時の日本社会では、こうした容姿のハンディキャップは女性が結婚するうえで大きなマイナスに考えられていて、そのため両親は「スミにはどこまでも学問をさせて、将来自活できるようにしてやらねば」と考え、名門の東洋英和女学校に入学させました。

東洋英和女学校はミッション系の女学校で、日常的にキリスト教の教えに触れ、神の前で人間は平等であるという信念のもと分け隔てなく接してくれる教師たちに次第に心を開き、大きな精神的な変化を経験しました。

卒業後、一時母校の教員となりましたが退職し、その後は女子高等師範学校（現：お茶の水女子大学）に入学し、1901年に卒業しました。
卒業後は、沖縄師範学校に赴任し、沖縄県高等女学校教諭嘱託となりました。
当時、沖縄は遠隔地のため赴任を嫌うものが多い中、自らの信念と信仰を鍛える良いチャンスととらえ、あえて沖縄を初任地に選びました。

しかし、まもなく文部省より家政学の研究のための英国留学の命を受けたことで沖縄を去ることになり、1902年より4年間英国に留学しました。
留学中は、休暇を利用して、イギリス国内の大学や師範学校に加えて幼稚園まで、幅広い教育機関を見学し、他にもオランダやベルギー、ドイツにも足を運ぶなど、調査旅行を精力的に行いました。

また、ヨーロッパ諸国を旅して、各国の女性の社会活動、特に働く女性の生活と子どもの養育に目を向け、女子教育の重要性と家政学が果たすべき課題についての認識を新たにし、社会の基礎単位である家庭生活の質を高めることによって、社会全体の幸せにつながることを確信しました。

帰国後は、1907年に女子師範学校教諭兼女子高等師範学校の教授に就き、1909年からは女子高等師範学校専任教授を務めました。

1923年には、海外での自身の経験を若い女性世代に伝えるため、自宅に東京家政学院の前身となる家政研究所を開設し、1925年には東京家政学院を開設、校長に就任しました。

第二次世界大戦時に、女子学生に軍事教練を試みるなど、軍国主義的な風潮に従ったためか、戦後は女子教育界から外されましたが、1948年に74歳で亡くなるまで女子教育に生涯を捧げました。

著作に『三ぼう主義』『礼儀作法全集』『応用家事講義』など

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